【消防設備業者向け】2024年改正「化学物質管理者制度」と消防点検の関係|立ち合い要否と罰則まで徹底解説

【消防設備業者向け】2024年改正「化学物質管理者制度」と消防点検の関係を解説(2025年12月記事)

「化学物質管理者は消防点検に立ち会わないといけないの?」
「加煙試験の IPA は管理対象?」

2024年4月施行の労働安全衛生規則改正(第12条の5の2)により、事業場では化学物質管理者の選任が義務化されました。
本記事では消防設備業者が現場で迷いやすい点を中心に、必要な部分だけ分かりやすく解説します。

1. 化学物質管理者制度とは?(消防設備業者向けに簡潔に)

2024年4月1日の法改正により、リスクアセスメント対象の化学物質(IPAなど)を扱う事業場では「化学物質管理者」の選任が義務化されました。

▼ 化学物質管理者が行う主な業務

  • 化学物質の危険性・有害性の評価(RA)
  • SDS の確認、GHS ラベル管理
  • 局所排気装置や換気設備の点検
  • 化学物質の保管・廃棄方法の管理
  • 作業方法の決定(健康障害防止)
  • 作業者への教育・周知

ここで重要なのは、「化学物質管理者は消防点検の立ち合いを義務付けられているわけではない」という点です。

2. 消防点検は化学物質管理者の職務範囲か?

▶ 結論:職務範囲ではない(法的義務なし)

消防設備点検は消防法に基づく業務。 化学物質管理者制度は労働安全衛生法に基づく制度です。

法律が全く別であり、 消防点検に化学物質管理者の立ち合い義務は存在しません。

▶ しかし現場では注意点あり

化学物質区域(薬品庫・研究室・危険物庫など)に入る場合は、 誤接触防止や情報共有のため、立ち合いが必要になるケースがあります。

3. 実務で「立ち合いが必要」となる代表ケース

  • 理科室・研究室・薬品庫に入る場合 ┗ 危険物・揮発物質が近接するため、誤操作防止の観点から必須。
  • 泡消火設備・粉末消火設備の点検 ┗ 薬剤(界面活性剤・粉末化学剤)を大量に保有するため、管理者と情報共有が望ましい。
  • ガス系消火設備(CO₂/ハロン代替)の点検 ┗ 誤放出時の酸欠・凍傷リスクがあるため安全衛生担当者に事前確認が必要。
  • 加煙試験スプレーを薬品棚周辺で使用する場合 ┗ IPA が引火性物質に分類されるため、使用場所の安全確認が必要。

4. 消防設備業者向け:化学物質管理者の立ち合い要否判断表

点検内容立ち合い理由
通常の報知器・消火器点検不要化学物質なし
加煙スプレー使用(IPA 含有)原則不要(状況次第)業者持込のため事業場の管理対象外
薬品庫・理科室・研究室必須薬品接触リスク
泡・粉末設備など薬剤大量設備推奨薬剤特性の共有
ガス系消火設備推奨誤放出リスク

5. 加煙試験スプレー(IPA 含有)の扱い

加煙スプレーには IPA(イソプロピルアルコール)やブタン・プロパンなどが含まれますが、 消防業者が一時的に持ち込むだけであれば事業場の「化学物質取り扱い」には該当しません。

ただし、薬品棚・研究室内では必ず施設側と相談し安全確認を行いましょう。

6. 法令全文:労働安全衛生規則 第12条の5の2(化学物質管理者)

(化学物質管理者)
第十二条の五の二 事業者は、労働安全衛生法第57条の3の2第1項に規定するリスクアセスメント対象物を製造し、取り扱い、又は譲渡若しくは提供する事業場ごとに、化学物質の管理に係る技術的事項を管理させるため、化学物質管理者を選任しなければならない。

2 化学物質管理者は、厚生労働大臣が定める講習を修了した者のうちから選任しなければならない。

3 事業者は、化学物質管理者に事故があった場合又は当該管理者がその職務を行うことができない場合に備え、その職務を代行する者を選任しなければならない。

4 化学物質管理者は、次に掲げる事項を行うものとする。
 一 化学物質の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく対策
 二 化学物質の製造・取扱い・貯蔵・運搬・廃棄に関する設備の点検
 三 化学物質による健康障害防止のための作業方法の決定
 四 化学物質の危険性等の情報及び安全な取扱いに関する事項の周知
 五 その他、化学物質管理に関する技術的事項
      

7. 違反した場合の罰則(労安法 第120条)

■ 罰則内容
改正労働安全衛生規則 第12条の5の2に違反した場合、 労働安全衛生法 第120条により、

▶ 50万円以下の罰金

■ 違反とみなされる例
  • 化学物質管理者を選任していない
  • 講習修了者以外を選任した
  • 代行者を選任していない
  • 設備点検(局排等)を実施していない
  • SDS 未確認・労働者へ未周知
※罰則の対象は「事業者(会社・学校法人など)」です。 消防設備業者が直接罰則を受けることはありません。

8. 要点まとめ(消防設備点検業者向け)

  • 化学物質管理者制度は消防点検とは別の法律(労安法)。
  • 消防点検に立ち合い義務はない。
  • ただし薬品庫・研究室などは安全上の理由で立ち合い必須
  • IPA入り加煙スプレーは業者持込なら管理対象外。
  • 第12条の5の2違反は50万円以下の罰金(事業者のみ)。
  • 点検前に「化学物質区域か」を把握し、必要なら管理者へ連絡。